岡山から山陰経由で京都をめざす
(前記事:下関→倉敷)
朝の倉敷からスタート。以前来たことがあるが、一応美観地区をさらっと通り抜けた。ここはいつ来ても美しい。ゆっくりしていけないのが残念。今日は山陰本線の終電で京都に帰るので、一本でも予定の電車を逃したらそれが命取りになってしまう。
岡山駅で美男子化された桃太郎を発見(笑)
ノスタルジー塗装のキハ47は土曜休日しか運行していないはずだが、なぜか平日の、しかも普通列車がこの塗装で運行されていたため見ることができた。ラッキー!
内装もこだわってますなー
津山線で終点の津山へ。昔は山陽と山陰を結ぶ鉄道の一大ターミナル駅だったが、いまでは普通列車と快速列車しか来ない駅になってしまった。
かつて使われていた転車台が残されている。
国鉄時代から活躍した往年の名車達。動いているのは見たことないぞ。
左から2つめのキハ181だけは特急「はまかぜ」として活躍しているのを三宮駅で昔見かけた。今はミャンマーにいるんだっけ?
鉄道博物館を後にすると暇になったので、線路端で快速ことぶきを待つ。
この国鉄車輌も見られなくなってしまう日が来るのだろうか。祖父母の家が鳥取だったのでキハ40系には愛着がある。そうなったらさびしいなぁ…
そんな日のためにも写真撮っとこーっと。
さて因美線智頭行きキハ120に乗って中国山地の奥深くの駅で下車。
鳥取県境の美作河井駅。因美線はたくさんの木造駅舎が残っているので地元自治体も観光資源として推しているようだが、列車が4時間に一本じゃ物好き以外来ないよなぁ。
自分は智頭ー津山間をピストン輸送している因美線に乗って行ったり来たりしていたのでとうとう運転手さんに顔を覚えられてしまった…
1両編成の列車しか止まらないのにホームがやたら長いのは昔、急行などの行き違いで利用していたため。もう列車が通ることのない線路が寂しく続いている。
その昔、ラッセル車の転換に使っていた手動の転車台。
美作河井駅から少し離れた集落までバスが出ている。1日に数本しかない不便なものだがいい時間つぶしになると思って事前に時刻表を調べておいた。
時刻表・運賃表:市営阿波バス時刻表 | 津山市公式サイト
しかもウィキペディアをみると(なんとこんな田舎のバスでもウィキにページがある!)未だに日産のボンネットバスによる運行とのこと。これは乗ってみたい。
ところが来たのはよく見かける普通のバスだった。ずいぶん前に置き換えられたらしい。これだからウィキペディアは信用ならん…
バスは初乗り50円で阿波(あば)地区まで走っている。津山市に統廃合される前は阿波村という村だった。バス停も当時のまま「村営バス」と表記されている。
行ってみたのはいいが、なにもない山村。
本当に何か出てきそうな雰囲気でちょっとこわくなる。
山登りをして適当に時間を潰し帰りのバスを待った。ここでバスを逃したらとんでもないことになるので…
美作河井駅に戻り、今度は列車で美作滝尾駅へ行く。岡山方面に戻る形だが、日中の因美線はピストン輸送しているのでこういうことが可能である。
美しい木造駅舎だ。とくにこの待合室はとっても素敵。無人駅でもこんなにきれいなのは地元の人が毎日ボランティアで掃除してくださっているからだという。
駅前はすぐ畑が広がっており、のどかな感じだ。
「男はつらいよ」の映画では寅さんがここで「勝山まで幾らだい?」と切符を買ったそうだが、当時駅員はどれぐらいいたのだろうか?
それよりもチッキの看板が残っていることにびっくり。チッキとは列車の手荷物輸送サービスのこと。今となっては分からない人も多そう。
やはり暇になったので辺りを散策してみる。赤い屋根が駅舎。絵になるなぁ。
2時間ほど待ち、やって来たキハ120で智頭方面に向かう。
因美線でもっとも古い知和駅。ここは鉄道ファンだけでなく、とあるアニメのファンも訪れるよう(鉄道ファンに一定数アニメオタクがいるという気もしなくはないが…)
実は先ほど紹介した阿波バスに乗れば美作河井駅と知和駅を両方訪問できたのだが、見た感じあんまり違いがなさそうだったのでまた次の機会に訪れることにした。そのまま智頭駅へ向かい、鳥取行きに乗り換える。
家の墓参りで毎年5月に必ず訪れる鳥取。ここ数年で駅ナカがだいぶ充実した。昔は構内はがらんどうとしており、さらにひどいことには駅のトイレにトイレットペーパーが完備されていないという有様だったのだが。
売店で駅弁を購入。「賞味期限は17時までだけど、今日中なら大丈夫ですよ」と言って売り子さんがイカスミ弁当を勧めてきた。
え?17時ってあと3分なんですけど…
こういうところは鳥取らしくて大好き。結局1400円の弁当を1000円で売ってくれた。
とはいったもののやはり心配なので列車に乗ったらさっさと食べてしまうことにした。イカが思ったよりもダイナミックに入っていてちょっとびっくり。味はとってもおいしい。というか鳥取の海の幸がおいしくないわけがない。
もっとびっくりしたのはこんなローカル線にも海外からのお客さんが乗っていたこと。台湾から個人できた旅行者だ。
ちょっと慌てていたのでどうしたのかと聞いてみると、反対方向の米子に行きたいとのこと。日本の田舎で列車を間違えたら大変だからなぁ。
結局、途中の無人駅で降りていったので無事反対方向の列車に乗れたのだろう。鳥取から数駅だったし、単線なのでそんなに問題はない。海外に行ったときに地元の人にたくさん助けられたので、自分も少しは「恩返し」ができただろうか…
ついに日本海が目の前に現れた。今回の旅では太平洋・瀬戸内海・日本海を一度に見たことになる。思えばずいぶん遠くまで旅をしたものだ。
兵庫県の浜坂駅で乗り換え。ここから京都までさらに3回乗り換えをしなければならない。もう真っ暗になったのでなにも景色は見えなくなってしまった。結局京都の下宿にたどり着いたのは0時近く。朝7時に倉敷を出てから相当長い間列車に揺られていたことになる。この日は布団の中に潜り込んだらすぐに意識を失ってしまった。
(完)