名鉄のローカル線に乗るっ!しおかぜ香る蒲郡線
先日、用事で横浜に行っていたのですが、帰りに豊橋で新幹線を途中下車し、名鉄蒲郡(がまごおり)線に乗ってきました。
蒲郡線は三河湾沿いを走る眺めのいい路線ですが、利用客の低迷で廃止検討路線として言及されたこともあり、存続の危機にあります。
電車は1時間に2本しかありません。
名鉄と言えば都会を走っているイメージでしたが、蒲郡駅はなんと有人改札!
蒲郡線は蒲郡から吉良吉田まで18キロを結んでいます。単線で途中は全て無人駅。車両はワンマン改造された6000系が当てられています。
数人の乗客を乗せて蒲郡を出発。しばらくすると左手に三河湾が広がります。
途中の西幡豆駅で下車。ここからぶらぶらと線路伝いに歩いてみようと思います。
名鉄は様々な小規模の私鉄を吸収してきた経緯があり、路線によって少しずつ雰囲気が違うそうです。蒲郡線も元々は三河鉄道という別会社でした。
名鉄の路線をローカル線と呼ぶのには抵抗があったのですが、蒲郡線は期待以上にローカル感で溢れていました。
お隣の東幡豆駅に到着。駅舎はずいぶん年季が入っていますし、ホームもまるで路面電車の電停みたい…
小学生のかわいらしいイラストが展示されていました。
蒲郡線が地元に愛されているのが伝わってきます。この子たちが大きくなった時にも赤い電車が今と変わらず走っていてくれるよう願うばかりです。
さらに一駅歩いて、こどもの国駅へ。この駅は「海の見える駅」という自分の好きなサイトで紹介されているのですが、名鉄で最も利用者の少ない駅らしく、人っ子一人いません…
ぼーっと屋根の上を行き交う船を眺めているとすごく落ち着きます。
ホーム上に切符売り場がありました。蒲郡線は経費削減のためカード非対応なので、電車に乗る前にいちいち切符を買う必要があります。
近くに「こどもの国」という遊園地があるのですが、日曜だというのに誰もいない…
気持ちの良い海風に誘われて、伊勢湾が一望できる高台の展望台へ登りました。蒲郡線の赤い電車も上手く風景に溶け込んでいます。
ところで、こどもの国には子供の遊具の域を超えた(完全に運営側の趣味としか思えない)本格的なナローゲージ鉄道が走っています。
よく遊園地にあるSLもどきではありません。石炭を焚いて蒸気で動く本物です。愛知県で現役のSLはここと明治村だけ。
こどもの国は愛知県政100周年にあたる1974年に開園したのですが、このとき導入された蒸気機関車が、今なお現役で走っています。わが国では20年近く蒸気機関車の新製がなかっただけに、当時は大きな話題となったそうです。
ナローゲージではありますが、昭和の匂いがプンプンします。汽車は土日祝限定で走っており、こどもの国の園内を10分かけて走ります。
標識などにも相当こだわっているようです。
周りに人が殆どいなかったので、せっかくの機会だから乗ってみました。
相当使い古された客車ですが、味があっていいです。
駅を出発すると列車は森の中を進みます。昭和の森林鉄道ってこんな感じだったのかなと思いながら乗っていると…
しばらく行くといきなり視界が開け、紺碧の海が目に飛び込んできました。
あっという間に駅に戻ってきてしまいました。40年もの間、晴れの日も雨の日もSLを整備してくださっている方に感謝です。
客車も開業当時のまま。とっても趣があります。デザインも素敵。
B12「しおかぜ」は長いことボイラー故障で走れない状態が続いていましたが、クラウドファンディングにより復活しました。全国各地に広がったミニSLの先駆けとなったこの子供鉄道には、これからもずっと元気な姿で走ってほしいものです。
さて、(大学生ながら)こどもの国を満喫した後は駅まで歩いて下ります。
帰りもやっぱり誰にも会うことなく蒲郡駅に帰ってきました。
蒲郡と言えばうどんらしいので、駅の立ち食いに入ってみましたが…
名物「ガマゴオリうどん」はここには置いていないとのこと!駅に置かないでどうする!という感じですが、店員のおばさんが親切だったのでよしということにして、普通のうどんをすすります。関西は好きですが、やっぱり味覚は関東人なので、出汁が濃い中京圏は嬉しい。
このまま在来線で京都まで帰ります。米原行きに乗れば乗り継ぎ1回で帰れるのですね。とはいっても3時間もかかったので京都に着いたときは尻がとても痛い!
というわけで尻切れトンボになっていた記事を回収しました。わざわざ見ていただいてありがとうございます。以下、ひとりごと。
蒲郡はその風光明媚な土地柄から中京圏のリゾート地として開発され、こどもの国をはじめ、最盛期には多くの娯楽施設がつくられました。しかしながら、バブル崩壊後は、レジャーの多様化や観光業衰退の影響をもろに受けます。
かつては複線化さえ計画された名鉄蒲郡線も利用客が激減し、廃線の危機にあります。さらに一時期はこどもの国の存続も危ぶまれました。
三河湾はこんなに風光明媚な場所であるにも拘らず、観光地としての認知度は低めです。利用客を増やし、蒲郡線を残してゆくには、沿線の観光も同時に盛り上げていく必要があります。蒲郡が誇る素晴らしい景色が、多くの人に知られることなく、このまま廃れていってしまうのは残念で仕方ありません。
というわけで、愛知を通過する際はぜひ一度、蒲郡まで足を運んでみてください!
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